この眼鏡っ娘マンガがすごい!第130回:北川夕夏「コイマト-恋的-」

北川夕夏「コイマト-恋的-」

講談社『別冊フレンド増刊』2010年3月~7月号

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一見すると、天然系眼鏡っ娘が3人のイケメンに囲まれる逆ハーレム乙女系マンガに見えるかもしれない。編集部もそれを狙っているだろうことは、裏表紙の作りから理解できる。しかし実際は、純粋な眼鏡っ娘によって一人の男のメガネスキーDNAが覚醒するまでの物語である。

ヒロイン前田霞は、弓道大好きな眼鏡っ娘。進学した高校でも、弓道部に入部しようと思っていた。

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しかし弓道部部員の3人の男子(みんなイケメン)は、弓道場を自分たちだけで独占しようと、新入部員を一人も入部させないように画策していた。中でも女好きの華やかセクシー系イケメン花澤大成は、いつでも自由に弓道場に女を連れ込むために、眼鏡っ娘を追い出そうと嫌がらせを繰り返す。

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しかし色仕掛けで眼鏡っ娘を追い出そうとしても、男にまったく興味のない眼鏡っ娘には何の効き目もない。これまでどんな女でも落としてきた大成のプライドはズタズタに傷つけられる。大成はなんとかして眼鏡っ娘をギャフンと言わせたいと思うようになる。

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しかしこの時点で大成は既に眼鏡っ娘の魅力にハマっていた。大成は「メガネの隙間からじっとこっち見やがって」と唸っているが、自分では眼鏡っ娘上目遣いに魂を奪われたことに気がついていないらしい。

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自分では眼鏡っ娘を従わせるための「メガネの隙間から尊敬のまなざし作戦」と言っているが、これは単に眼鏡っ娘に上目遣いに見られたいという欲望に過ぎない。彼は自分で自分の欲望がわかっていないのだ。
まあ、人生で初めて経験する感覚に対して戸惑ってしまうのは、しかたがないことではある。実際には眼鏡っ娘の魅力にズブズブにハマっているのに、それを自覚できないというのは、若さ故の過ちである。そんな頑なな心も、眼鏡っ娘の魅力がド真ん中から打ち砕く。

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眼鏡っ娘の真っ直ぐな言葉によって、ようやく大成は自分の気持ちに素直に向き合うことができた。ここに一人の同志メガネスキーが誕生したのである。

書誌情報

同名単行本全1巻。電子書籍で読むこともできる。
ちなみに作者の北川夕夏は、いま注目の眼鏡っ娘マンガ「影野だって青春したい」を絶賛連載中。現時点で単行本8巻まで出ている。こちらも、連載がまとまったら紹介していきたい。

単行本・Kindle:北川夕夏『コイマト―恋的―』講談社、2010年
単行本・Kindle:北川夕夏『影野だって青春したい』第一巻、講談社、2013年

 

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