この眼鏡っ娘マンガがすごい!第151回:いでまゆみ「うっふん♥探偵日記」

いでまゆみ「うっふん♥探偵日記」

講談社『なかよし』1980年7月号

ヒロインの眼鏡っ娘・原田右子は、おカタい風紀委員長。今日も朝から全校生徒をビシビシと風紀指導しております。まさに委員長の鑑なのです。痺れる!

そんな委員長の前に、転校生が颯爽とバイクで登場するのであります。マイペースな転校生の振る舞いに、さすがのカタブツ委員長もペースを乱されてしまいます。

転校生をギャフンと言わせるため、なんとか弱みを握ろうとして後をつけ回す眼鏡っ娘なのです。が、転校生の日常を改めて見てみると、実はいい奴だということがだんだん分かってきます。しかしイジけてしまって自分に自信がもてない委員長なのです。転校生のたわいもない一言に過剰反応して、ついついネガティブな感情をぶつけてしまいます。昭和の当時は、これを「ツンデレ」と言わず、「意地っ張り」と言っておりました。意地っ張りの眼鏡っ娘、これこそ昭和の少女マンガが誇る文化遺産なのです。

意地っ張りの眼鏡っ娘でしたが、しかしそこはやはり転校生は少女マンガのヒーローなのでした。自分の方から非を認め、「テレくさかった」と謝って、眼鏡っ娘に告白するのです。そんな素直なヒーローの前に、かたくなな委員長の心も溶けていくのでありました。

そんなわけで、70年代少女マンガのド真ん中王道「そんな意地っ張りの君が好きなんだ」を真っ直ぐに行く作品です。何度でも言いますが、眼鏡を外して綺麗になってモテモテになるようなマンガなど、昭和の少女マンガでは傍流です。眼鏡っ娘がメガネのまま「そんな君が好きなんだ」と受け入れられるのが少女マンガの王道なのです。だから我々も自信を持って「眼鏡のままでいいんだ」と言い続けていきましょう。

書誌情報

単行本『野性の君に首ったけ』所収。35頁の短編。
残念ながら新刊では手に入らないが、とても人気があって単行本の数が出ている(手許のは9刷)ので、古本で比較的容易に手に入れることができる。

【単行本】いでまゆみ『野性の君に首ったけ 』講談社、1982年

 

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