この眼鏡っ娘マンガがすごい!第33回:須河篤志「つるた部長はいつも寝不足」

須河篤志「つるた部長はいつも寝不足」

メディアファクトリー『コミックフラッパー』2009年12月号~11年8月号

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眼鏡っ娘高校生の鶴田恵ちゃんは、美術部部長。しかし絵についてはシロウト同然。後輩なのに絵が上手い瀬戸くんに、仄かな恋心を抱いていたりする。そんな眼鏡っ娘に、ものすごい性癖があった。いちどエッチな妄想が始まると、止まらなくなってしまうのだ。

033_04ということで、本作のみどころは、まず眼鏡っ娘の暴走する妄想のエロさだ。毎回毎回、よくもそんなところからスイッチが入るなあというところから妄想に突入し、アクセルべた踏みノンストップで妄想エスカレート。そのくせに現実では勇気が出ずに、瀬戸くんとまともに話もできなかったりする。

ということで、本作のさらなる見どころは、ど直球の青春ラブコメエピソードだ。つるた部長の純粋さも、瀬戸くんの青くささも、お兄さんの上から目線も、美術部員たちの真っ直ぐな姿勢も、キラキラとまぶしい。「こんな高校生活を送りたかった!」と思ってしまう甘酸っぱい青春エピソードが満載で、ハレンチな妄想でいっぱいの微エロマンガなのに、いやそれだからこそ、読後感はとても清々しい。下品にならないエロという点から言えば、間違いなく稀有な作品だ。

が、本作の最大の見どころは、そこにはない。本作最大の価値は、眼鏡の真実を見せつけたエピソードにある。つるた部長は、眼鏡をしているときはカワイイのに、眼鏡を外すと超恐ろしい顔になってしまうのだ! メガネなしの顔は本当に恐ろしいので、ぜひ自分の目で確かめていただきたい。このとき眼鏡をはずした部長の恐ろしい素顔を見てしまった瀬戸くんのリアクションが素晴らしかった。

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「とりあえずメガネを…メガネをかけていただけますか……」。いやほんとうに、眼鏡を外して女性がかわいくなるなんて物理的にありえないことは、しっかり認識されるべきだ。間違った認識を持っていた瀬戸くんは、自分自身で恐怖を味わって、ようやく世界の真実を知ることになった。全世界の人々は、このマンガを読んで、メガネを外した女性は恐ろしい顔になることをしっかりと認識し、眼鏡っ娘からメガネを外そうなどという愚かな行為は、ぜひやめていただきたい。

■書誌情報

033_03新刊でも手に入るし、電子書籍で読むこともできる。つるた部長がメガネを外して恐ろしい顔になるのは、第2巻に収録の第7話。

Kindle版:須河篤志『つるた部長はいつも寝不足』第1巻 (コミックフラッパー、2010年) 単行本は全3巻。

いい味を出している保健室の先生も眼鏡設定らしいけれど、本編ではオデコめがねしかなかったなあ。名前も最後まで結局わからなかったや。

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