この眼鏡っ娘マンガがすごい!第2回:井田辰彦「秘密結社α」と「霧の日」

井田辰彦「秘密結社α」

講談社『ヤングマガジン増刊海賊版』1992年8号~93年1号

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「歌う委員長」前日ということで、歌う眼鏡っ娘委員長が出てくるマンガをご紹介。

002_02s ヒロインの眼鏡っ娘=坂倉法子ちゃんは、クラスメイトと一緒にカラオケに行っても、堅物だと思われて歌わせてもらえない。家で厳格な父に押さえつけられて育ったため、おとなしくて控えめという印象がついてしまったのだ。
が、進学したお嬢様高校でアケミとユミコと出会ったことから、急激に法子の運命が変わる。法子は、理由が全く分からないうちに、世界征服を狙う「秘密結社α」から執拗に付け狙われる。不可解な現象の連続におびえる法子を励まそうと、アケミとユミコが法子をスタジオに連れて行く。激唱する眼鏡っ娘。弾けたように歌う法子のセイレーンのような声に震撼する面々。実は法子は魔法の声を持っていたのだった!

002_03s しかし、アケミとユミコには秘密があった。秘密結社αの正体は、実は○○○○○○○だったのだ! そして法子の歌声に隠された秘密とは!? 秘密結社αの真の目的とは!?? 歌え法子! 世界征服のために、眼鏡っ娘委員長は今日も歌い続けるのだ!

この作品、眼鏡の描き方がとても良い。セルフレームをバランスよく描くことは非常に難しいのだが、丁寧にデッサンをとった上で、ツルやパッドまで立体的に描きこんでいる。目にかかるフレームを消去するマンガ的手法はまったく使用せず、構図の工夫でメガネと表情をうまく融合させている。さらにメガネフレームの影が丁寧に描かれているところが素晴らしい。ヒロインの顔に落ちるメガネフレームの影を通じて、白黒の画面に光が見えるのだ。

002_04単行本には作者の漫画賞受賞作「霧の日」も収録されている。この主人公も眼鏡っ娘。ポニーテールにロングスカート、日本刀で戦闘する容赦のない退魔師眼鏡っ娘。このデビュー時点で既にメガネが好きだろうことは、斜め上のアングルからのキャラ描写でわかる。この角度でメガネを描くのは、描きたがるのは、メガネが好きという以外に理由がない、たぶん。

■書誌情報

単行本『秘密結社α』(講談社、1993年、ISBN4-06-323385-5)所収。
講談社の電子書籍サイトで読むことができる。

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