この眼鏡っ娘マンガがすごい!第124回:新條まゆ「純愛ストリップ」

新條まゆ「純愛ストリップ」

小学館『少女コミック』2004年17号ふろく~05年2号とじこみふろく

124_06※以下、性的な話題が続きますので、苦手な方は回避して下さい。

どんくさい眼鏡っ娘が、「バスタード!!」のダーク・シュナイダーのような性格の自己中俺様男に体を求めらてエッチな目に遭いまくってしまう話。少女マンガでここまでド直球に性表現をぶち込んでくるとは、さすが新條まゆ。俺たちにできないことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れる。

ヒロインの浜野優子ちゃんは、ガリ勉してもちっとも成績があがらない、できない眼鏡っ娘、中学3年生。一方、八神くんは勉強なんかしなくても常に完璧な成績、しかも超イケメン、運動神経もバツグンで、モテまくり。作中では「抱かれたい男東地区No.1」となっているが、「おまえ中学3年生だろう」などというツッコミが無粋に思えるくらい、超イケメン。そんな八神くんは、実は眼鏡っ娘のことが好きすぎたのだった。

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ツンデレすぎだろ、八神くん!
そんな八神くんが、眼鏡っ娘と一緒の高校に行くために、家庭教師として勉強を教えることになる。が、八神くんは一緒の部屋に潜り込めたことをいいことに、なにかにつけて眼鏡っ娘の体を狙うのだった。

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新條まゆを知らない人には信じられないかもしれないけど、これ、ふつうの少女マンガ誌に載ってるコマね。
で、問題を間違えたら一枚ずつ服を脱ぐ「試験問題野球拳」とか、スケベなことを英語でつぶやきまくって単語を覚えさせるとか、これが『月刊マガジン』のプチすけべマンガなら、主人公が三枚目だからコメディになるが、本作は少女マンガの超イケメンがやっているからシャレにならない。

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いや、やっぱりコメディだな…。つい笑みがこぼれてしまう。
しかし、押しの強いサディスティックな八神くんに、ついに眼鏡っ娘も処女を捧げてしまう。いったんエッチしたら、あとはエッチしほうだいだ。くそ、イケメンめ。

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しかしさすがに少女マンガだけあって、八神くんがイケメンなのは顔だけではない。全力で眼鏡っ娘を愛しているところが、全力でイケメンなのだ。世間一般的には浜野はブサイクとされているが、八神くんはそんなこと全くおかまいなし。八神くんの主観からは、浜野が世界一美しいのだ。そしてそんな眼鏡っ娘を、八神は全力で守る。眼鏡っ娘の容姿を悪く言ったバカ女に対して啖呵を切る八神くんは、めちゃめちゃカッコいい。

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この根拠のない自信を裏打ちにした謎の迫力の前では、バカ女どもも黙り込むしかない。八神くんのありあまる才能の全ては、眼鏡っ娘のためだけに発揮される。全力で眼鏡っ娘の体を求め、全力で眼鏡っ娘を守る八神くんに、惚れ惚れとせざるを得ない。私も、こうありたい。まずはイケメンにならなくてはな。
ただ、せっかくの初体験のときに浜野が眼鏡を外しているのだけは、いただけない。まったく、いただけない。これは、本当にいけない。画竜点睛を欠くとは、まさにこのことだ。しかたないから、私は自分で眼鏡を描き入れた。

■書誌情報

同名単行本所収。全3話所収で、内容はないに等しいが、突き抜ける迫力で読み応えがある。さすが新條まゆ。性的表現があるとはいえ、基本ギャグマンガとして読めばいいかなと思う。電子書籍で読むことができる。
Kindle版:新條まゆ『純愛ストリップ』小学館、2005年

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