小椋冬美「ミス・ブロンデルの場合」
講談社『mimi Excellent』1987年No.2
一人のメガネスキーが、ツンデレ眼鏡っ娘と付き合うまでのハートフルストーリー。物語の最後にメガネスキーが発した言葉に、痺れる。
スティーヴは、ヒロインの眼鏡っ娘モエットに何度もモーションをかけている。しかし眼鏡っ娘の方は真剣に取り合ってくれない。
スティーヴの言葉が軽いという原因もあるにはあるが、根本的な理由は眼鏡っ娘が自分に自信が持てないことにあった。
しかしある日、眼鏡っ娘が別の男と付き合っていると勘違いしたスティーヴが大暴発、指輪を選んでいるところに飛び込んで、本気で眼鏡っ娘に告白する。それが幸いして、スティーヴの本気の愛が眼鏡っ娘に伝わり、見事二人は付き合うことになる。
初めてのデートのとき、眼鏡っ娘は髪を下ろしてドレスを着て、オシャレをする。そして、眼鏡を外してしまう。「ああー、なんてこった!」と失望しかけたとき、次のページでやってくれた。
眼鏡がないことに違和感を覚えた眼鏡っ娘は、スティーヴに「メガネかけてもいいかしら」と尋ねる。右下のコマ、このときのスティーヴの喜悦の表情を見ていただきたい。「メガネかけてもいいかしら」と尋ねられたときの男の顔は、こうあらねばならないという、満面の笑み。そしてもちろん、返事も奮っている。
腰に手を回して抱き寄せながらの「きみのメガネにほれたんだぜ」……くううううぅぅぅ、すげぇぜスティーヴ!!! 人生で一度は言ってみたいセリフだ。とっておきの場面で決めたいぜ。おめでとう、メガネスキーの同志スティーヴ!
書誌情報
本作は40頁の短編。単行本『彼女の生活』所収。
小椋冬美は1980年代前半の『りぼん』でポスト乙女チックの看板を張った後、幅広い媒体で活躍した人気作家。淡泊な画面と淡泊なストーリーが心地よい詩のような作品を描く。『りぼん』時代に描いたツンデレ眼鏡っ娘マンガもなかなかのものなので、そのうちに紹介したい。
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