星野めみ「レディス・カツ丼・ジェントルメン」
講談社『BE・LOVEブライダル』1991年第9集
眼鏡を大切にする女性には必ず幸せがやってくるという物語である。
ヒロイン花野都の実家はソバ屋。眼鏡っ娘はOL業の傍ら実家で手伝いをしている。OLのときは眼鏡をかけているが、実家の手伝いの時は眼鏡をかけていない。ある日、ソバ屋に来店したメガネ男子がカツ丼を食べて大感激して帰って行った。実はそのメガネ男子こそ、眼鏡っ娘が勤めている会社の憧れの若社長だったのだ。
翌日、その社長が眼鏡っ娘に気づいて話しかけてくる。
憧れの社長に直接はなしかけられて舞い上がる眼鏡っ娘。そのときの感激の仕方にちょっと注目したい。
眼鏡っ娘は「私がメガネかけててもわかってくれた」と喜んでいるようだが、真実はもうちょっと単純だろう。若社長は実はただのメガネスキーだと考えた方が筋が通る。都が実家で手伝っているときに声をかけなかったのは、眼鏡をかけていなかったからだ。会社で声をかけたのは、眼鏡をかけていたからだ。そう考えないと、次のシーンの説明がつかない。
若社長が眼鏡に並々ならぬ関心を抱いていることが分かる。そして若社長の質問に対する都の答えが決定的にすばらしかった。
左下のコマに注目したい。それまで酒に酔って寝転がっていた若社長の表情。眼鏡を心から大切にしている眼鏡っ娘を目前にしたときの男の顔だ。そして当然、男のリアクションはこうなる。
眼鏡を大切にしている眼鏡っ娘を、私たちは大切にしたい。若社長の心をがっちり掴んだ眼鏡っ娘は、みごと玉の輿に乗るのであった。
書誌情報
本編は49頁の短編。単行本『君に着せたいウエディングドレス』に所収。星野めみ作品にはメガネ男子がたくさん登場するような気がするなあ。
単行本:星野めみ『君に着せたいウエディングドレス』講談社、1992年
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