尾崎七千夏「Oh!ダーリン今はせめないで」
講談社『別フレDXジュリエット』1989年7月号
ヒロインの眼鏡っ娘は、カタブツの風紀委員長です。風紀委員長には、眼鏡がとっても似合います。本作の見所は、この風紀委員長のツンデレっぷりなのであります。
さて、物語冒頭。眼鏡委員長は、校則を守らずに髪を伸ばしているロックバンドの面々に対し、一週間以内に髪を切らなければ退学にすると最後通告をするのであります。厳しいっ!
絵を見ればすぐ分かるように、委員長の髪の毛は、すばらしく長い三つ編みになっております。自慢の髪の毛です。本作は、この「髪の毛」をライトモチーフとして展開していきます。
ロックバンドの面々の前を通過するときの、この「つん」っての、いいですねえ。まさに委員長は「つん」でいきたいものですね。
が、「つん」していた委員長ですが、デレます。
ロックバンドのボーカル櫻庭くんには、髪の毛を伸ばす正当な理由があったのです。彼の信念に触れた委員長は、少しずつデレていきます。そのデレかたも、素直じゃなくて、とても良いのですけどね。
さて、彼らに校則を守らせることが正しいのかどうか、委員長は迷うようになるのですが、最終的に彼らは髪の毛を切ることになります。委員長は、自分のせいで彼らの夢を壊したと後悔します。後悔して、自慢だった自分の髪の毛を切ってしまいます。
それを見た櫻庭くんは、「どんな髪でも好きだよ」と言ってくれます。相手の外見で態度を変えない、これこそ少女マンガのヒーローです。ツンデレ委員長の心を溶かすのは、この姿勢なのであります。お二人さん、末永くお幸せに!
まあ、私が察するところでは、櫻庭くんは委員長が眼鏡のところが大好きで、髪の毛は長くても短くてもどちらでも良かったのではなかったかなと思うんですけどね。
書誌情報
本編は50頁の短編。単行本『キューピッドがここにいる』所収。残念ながら新刊で手に入れることはできなさそうですが、かろうじて古本ではまだ手に入ると思います。
本作は平成元年の作品です。この頃は、まだ髪の毛や服装に関する校則が厳しい時代でした。(最近も「ゼロ・トレランス」などといって髪の毛や服装に厳しくなる傾向は見られますが)。校則が厳しかった時代の雰囲気が分かるというところでも、興味深い作品になっております。
【単行本】尾崎七千夏『キューピッドがここにいる』講談社、1990年
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