PEACH-PIT「みずたま」
少年画報社『月刊ヤングキングアワーズ』2001年
前々回の『マリアナ伝説』に続いて、水球をテーマにした作品をご紹介します。ええ、水球をテーマにした作品のはず……です。
……。というか、どうして水球を扱う作品は、どいつもこいつも真面目に水球をしないのでしょうか!?(事例2つですが)
ということで、水球はどうでもいいので、眼鏡っ娘を見ていきましょう。
ああっ、かわいいですね。主人公の眼鏡っ娘は、高校一年生です。そしてカナヅチを克服するために水泳部に入りたいと思っていたのですが。
なぜか水球部に拉致されて、入部を強要されてしまうのでありました。強引な水球部メンバーに最初は反感を持っていた眼鏡っ娘でしたが、最終的には廃部から救うため、マネージャーとして入部を決意するのです。
いやあ、いい話ですね~。
って表面上は見えますが、いやいや、実際に読んでみると、そういう感動的な流れではまったくありませんので、ご安心ください。
さて、そんなわけで水球はどうでもいいのですが(実際の作品も南国アイスホッケー部ばりに水球と関係ありませんし)、眼鏡っ娘はとてもかわいいですね。一見するとぞんざいな線でフレームが引かれているだけのように見えますが、少女マンガ眼鏡技法の歴史と伝統を踏まえた眼鏡ラインの正統な進化形のように思えます。少女マンガではライン一本で眼鏡を表現してきたわけですが、だからこそラインの位置と質が重要になってきます。本作は、それがもう、抜群です。いいですね~。
それから本作には、眼鏡っ娘がもう一人登場します。
部長の平しずかさんは、眼鏡がないとヤブニラミで人相が悪くなるところが、とてもキュートですね。
短編なのにかわいい眼鏡っ娘と眼鏡姐さんが揃っていて、とてもコスパがよい作品です。
書誌情報
「みずたま」と「みずたまⅡ」の全2話。それぞれ24頁と16頁の短編。単行本では『PEACH-PIT初期作品集もものたね』に所収。どうも新刊では手に入りにくい雰囲気ですが、まだ古書で容易に手に入るのではないかと思います。
ところで「ウォーターボーイズ」の公開が2001年のことですが、本作もなにかしらの影響を受けているのでしょうか。まあ、本作でもまったく水球をやりませんけれども。
【単行本】PEACH-PIT『もものたね PEACH-PIT初期作品集』メディアワークス、2005年
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