まつざきあけみ「天使のくれたメガネ」
集英社『増刊マーガレット』1970年1月
ヒロインのユミちゃんは、極度の恥ずかしがり屋。大好きな島くんに話しかけられても、すぐに逃げ出してしまう。そんなユミちゃんの前に、なみだの精が現れて、魔法のメガネをくれた。そのメガネをかけると、なんでも思い通りの夢が見られるというのだ。さっそくメガネをかけてみると、大好きな島くんとラブラブになれた。メガネのおかげだと大喜びするユミちゃん。しかし実は、なみだの精は嘘をついていた。それは魔法のメガネでもなんでもなく、夢の中だと思っているのはユミちゃんだけで、実際は現実世界で島くんとラブラブになっていたのだった!
が、そんなことは全く知らずに、メガネのおかげで夢の中の島くんとラブラブになれたと喜ぶユミちゃん。ところがライバルの優子がイジワルしてきて、なんと魔法のメガネが割れてしまった! 堪忍袋の緒が切れて、怒りにまかせて思わず優子を殴ってしまうユミちゃん。が、憧れの島くんにその場面を見られ、さらに優子を殴ったことを咎められ、しかも「たかがメガネをわったくらいで」と言われてしまう。そう言われてショックを受けたユミちゃんが示したリアクションが、これだ。
「たかがメガネですって!?」って、当然のリアクションだ。魔法のメガネでなく、普通のメガネを割られたときだって、このリアクションだろう。
まあ、最後はユミちゃんも自分の勘違いに気が付き、夢の中ではなく現実世界で島くんと仲良くなったことを知る。そして島くんに対しても素直になれて、ハッピーエンド。しかしユミちゃんは、メガネのおかげで恋が実ったことをちゃんとわきまえていて、メガネに感謝の気持ちを伝えることを忘れなかった。いい子じゃないか。
しかし、まつざきあけみと言えば縦ロールなどゴージャスな絵柄が印象的な作家なんだけど、1970年段階ではこういう絵柄だったのね。あと、本作を通じて、メガネだから容姿が劣るなどという愚かな観念が皆無なところにも注目。1970年時点ではメガネ=ブスという観念は未発達だったことを示している。
■書誌情報
単行本:まつざきあけみ『タイム・デイト』(ペーパームーン・コミックス、1980年)に所収。多少プレミアがついているけど、まだ手に入りやすい部類か。
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