やまだないと「僕と彼女と彼」
角川書店『ヤングロゼ』1995年5月号
最初に断わっておくと、本作は厳密に言えば「眼鏡っ娘マンガ」とは呼びにくい。とはいえ、他に代わりの効かない眼鏡エピソードを描いているので、きちんと眼鏡っ娘史に留めておきたい。
本作の主人公は、兄、姉、弟の三人兄弟。このうち眼鏡屋を経営している兄のエピソードが素晴らしい。まず朝食の場面で弟の彼女を一目見て視力が落ちていることを見抜き、眼鏡を作るよう勧める。そのスゴワザに弟の彼女は「えっ!?」と驚くが、眼鏡マンたるもの、ぜひこうありたい。
兄が眼鏡のフィッティングをする様子も描かれる。こういうシーンをマンガで見ることはなかなかない。そして視力が落ちたと見抜かれた弟の彼女が眼鏡を作りにやってくるが、ここのシーンが、とてもおしゃれで、印象に残る。
フィッティングのためにトライアルフレームをかけさせる際、さりげなく「ちゅっ」といく。惚れてまうやろ! そしてトライアルフレーム状態の眼鏡っ娘というのは、なかなか貴重な絵かもしれない。
全体として眼鏡が物語に重要な位置を占めるわけではない(話自体は面白い)が、この眼鏡屋のお兄さんキャラは他に代わりがいないユニークな眼鏡者なので、見ておいて損はないと思う。できれば、こういう人に私はなりたい。
■書誌情報
単行本:やまだないと『バイエル<なつびより>』(Ohta comics、1999年)に所収。手に入りやすそう。
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