この眼鏡っ娘マンガがすごい!第131回:渡辺修己+W・ウッド「チェックメイト」

漫画:渡辺修己+原作:W・ウッド「チェックメイト」

集英社『フレッシュジャンプ』1984年3月~85年10月号

手を挙げろ! 眼鏡警察だ! おとなしく観念して今すぐ眼鏡っ娘の前にひれ伏すんだ!

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ということで、眼鏡っ娘刑事がヒロインの作品である。1980年代の少年マンガ連載作品で眼鏡っ娘がヒロインになるのはかなりレアで、貴重な作品の一つだ。
主人公のルークは「チェックメイト」と名乗る大泥棒。眼鏡っ娘ヒロインのエリィは、チェックメイト逮捕に情熱を賭ける刑事だ。この泥棒と刑事が、次第に惹かれ合い、協力して巨悪と戦うようになっていく物語である。

本作の眼鏡的な見どころは、眼鏡っ娘が眼鏡のままで当然のように美しいと認められる自然な描写だ。眼鏡だから容姿が劣るなどというエピソードは一切ない。その精神の一端を、ウエディングドレスのシーンに見ることができる。何の疑問もなく、眼鏡と花嫁衣装が同居しているのだ。

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眼鏡de結婚式が極めて困難であることは、小野寺浩二師の結婚式のエピソードからもうかがえる。眼鏡のままの結婚式が当たり前である世界にするために、眼鏡de結婚式の実例が豊富に存在することを広めていきたい。親族から眼鏡de結婚式に難色を示された場合などは、本作を例示して抵抗していこう。

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さて、1980年代には眼鏡っ娘のヒロインがかなり少ないが、その少ない中で「刑事」の眼鏡っ娘の存在が目を引く。本コラムでも第73回で岡崎つぐお「どきどきハートビート」を紹介した。北条司「キャッツ・アイ」の浅谷刑事(CV=榊原良子)も思い浮かぶ。
一般には眼鏡女性というと教師を思い浮かべる向きもあるようだが、より正確に言うと、眼鏡が「職業婦人」を暗示するアイテムであることは既に何回か指摘してきた。数少ない1980年代眼鏡っ娘ヒロインに刑事が目立つのも、おそらく眼鏡と職業婦人との繋がりと関わっていると思われる。女性から眼鏡を外そうという圧力は、実は女性から職業を奪い去ろうという時代錯誤的な感性と密接に結びついているだろうことに注意しなければならない。「眼鏡を外したほうがいい」などとタワケたことを言うような男と付き合うと、モラルハラスメント等で酷い目に合うことは間違いないので、注意しよう。

書誌情報

同名単行本全4巻。古書でしか手に入らないが、30年経っているせいか、だんだん見当たらなくなってきている気がする。

単行本:渡辺修己+W・ウッド『チェックメイト』全4巻完結、集英社1985-1986

 

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