鈴木信也「Mr.FULLSWING」
集英社『週刊少年ジャンプ』2001年23号~06年23号
基本的に野球マンガではありますが、まあ、それは比較的どうでもよいことであります。本作が極めて重要なのは、『週刊少年ジャンプ』のヒロインに眼鏡っ娘を据えてきたという一点にあるのです。後世まで賞め讃えられるべき作品なのです。
本作のヒロインは、野球部マネージャーの鳥居凪さん。主人公の猿野は、眼鏡っ娘に惹かれて野球部入部を決意するのでした。眼鏡っ娘がマネージャーをやっていたら、猿野でなくても野球部に入っちゃうね。
メガネをかけてる娘、最高だと思います!
そしてこの作品がとても素敵なのは、めがねLOVEなネタをぶちこんでくるあたりにあるのです。たとえば単行本8巻では、練習試合の対戦相手が「音瓶(ねがめ)高等学校」なのです。
このNEGAME高校が、たいへん素敵。
こ、ここは鯖江なのか!?
いや、本作が描かれたのは、鯖江に眼鏡ベンチ等が設置される前のことなのです。こうなったら、さらに鯖江でも植込みを眼鏡の形にしてもいいかもしれません。
そして音瓶高校に来て、眼鏡っ娘も活き活きするのです。
うわあ、「メガネマーガレット」読みてえ!
そして音瓶高校のキャプテンは、別紅飴理(べっこうあめり)という名前のキャラなのです。このキャラがまたたいへん素敵なのであります。
残念ながら、このNEGAME高校は、主人公たちとの練習試合で負けてしまいます。
このままフェイドアウトなのかなあと思ったら、実はこの後、なかなか胸熱な展開になるのです。具体的には、単行本13巻で、飴理キャプテンが極めて重要な働きをしてくれます。
猿野たちがピンチに陥って困っていたところに、「メガネの事でお困りかな」というセリフと共に、飴理キャプテンが現われます。うおお、すげえカッコいい。一度は言ってみたいセリフじゃないですか、「メガネの事でお困りかな」
ケースに満載した眼鏡の中から素敵メガネを見繕ってくれる飴理キャプテン。お、おまえ、実は西川魯介師だったのか!?
そして飴理キャプテンがもたらしたメガネによって、猿野たちのチームは見事に逆転勝利を収めるのでありました。メガネ最高!
まあ、このエピソードについて岩城とかなんとか言う向きもあるようですが、「勝負は最後のメガネをかけるまでわからないぜ」なんて決めセリフを言ってくれるのは、確実にこのマンガのオリジナルなので、まったく問題ありません。
そんなわけで、眼鏡っ娘ヒロインは最後まで眼鏡を外すことなく活躍してくれるので、安心していただきたいのであります。週刊少年ジャンプで長期にわたって眼鏡っ娘がヒロインを張り続けた事実は、とても尊いものです。いくら感謝してもしたりません。ありがとう、ありがとう! 牧村南さんがジャンプのヒロインに!と言って大喜びしていたのは、秘密だ。
ちなみに凪さん、眼鏡だからといって勉強ができるとかオタクだとかいう属性はついていないようです。
書誌情報
同名単行本全24巻。文庫版では全15巻で、電子書籍で読むこともできる。
【単行本】鈴木信也「Mr.FULLSWING」1巻、集英社、2001年
【Kindle版・文庫版】鈴木信也『Mr.FULLSWING』1巻
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