藤臣美弥子「0.01のおしゃべり」
小学館『少女コミックCheese!』2000年7月号
ヒロインの眼鏡っ娘高校生=金沢マキは、喫茶店でウェイトレスのアルバイトをしているとき、廉太郎から「そこのメガネっ子」と声をかけられる。マキは眼鏡にコンプレックスを持っていたが、実はデザイナーの廉太郎は眼鏡のモデルを探していて、眼鏡の似合うマキに声をかけたのだった。そこでマキは、素敵な彼氏を紹介してくれるなら、と条件を出す。
廉太郎はマキに彼氏が見つかるまで自分が臨時彼氏になると提案し、マキはモデルになることを承諾する。さっそく商談にマキを連れて行く廉太郎。廉太郎とクライアントは、眼鏡の似合うマキを大絶賛。廉太郎の商談もマキのメガネのおかげで大成功する。マキは眼鏡を褒められるのが信じられない。が、廉太郎は「メガネをかけてるキミがカワイイ」とたたみかける。そうだ、いけ廉太郎! 眼鏡っ娘を褒めまくってメガネに自信を持たせるのだ!
そうして自信を持ったマキは、廉太郎と結ばれる。しかし幸せ絶頂に見えて、実は廉太郎のほうが不安に陥っていた。自分のようなオッサン(27歳)がこんなカワイイ眼鏡っ娘(17歳)と付き合っていいのか、密かに悩んでいたのだ(というか二人はセックスまでしてしまったので、長野県以外では淫行条例にひっかかるのだ)。そこで廉太郎はかっこいい男性をマキに引き合わせ、臨時彼氏は終わりだと告げる。
廉太郎に本気になっていたマキは、別れを告げられて大ショック。思わず廉太郎に眼鏡を投げつけて、その場から駆け去ってしまう。眼鏡を投げつけてしまったので、近眼でまったく周りが見えず、そこらじゅうにぶつかりながら街を走るマキ。このときのメガネなしの顔がヤブ睨みのブサイクで、たいへんよろしい。
追いかけてきた廉太郎は、危なっかしいマキをつかまえて、そして眼鏡をかける。マキにかけさせた眼鏡が、自分がデザインした眼鏡だってところがめちゃめちゃカッコいい。そして廉太郎は、自分に自信がなかったことを素直に告げる。そんな廉太郎に、マキが言ったセリフが本当に素晴らしい。
「このメガネをかけると、アナタしか見えなくなるんだよ」。たまらんわ。一生のうちに一度は言われてみたいセリフ、ナンバーワンだ!
■書誌情報
単行本:藤臣美弥子『カワイイヒト』 (小学館フラワーコミックス、2000年)所収。
■広告■ |
■広告■ |