かやまゆみ「そうっと…リフレイン」
講談社『別フレDXジュリエット』1985年3月号
ヒロインは転校生の眼鏡っ娘なのです。転校早々、眼鏡を落としてしまったヒロインの前に、格好いい男子が現われます。さすがヒーロー、眼鏡を拾って、「すっ」とかけてあげるのです。これこそ少女マンガ。こんな出会いをしてみたい!
ということで、眼鏡をきっかけとして、恋愛ストーリーが始まるのでありました。
本作の眼鏡っ娘は、特に勉強ができるわけでもなく、委員長だったりするのでもない、ふつうの女の子です。ただ近眼で眼鏡をかけているだけです。強調したいのは、実は少女マンガのヒロインの多くが、こういった何の変哲もない眼鏡っ娘だったりすることです。
さて、そんな素敵な出会いをする眼鏡っ娘でしたが、残念ながら、第一印象は最悪なのでした。「メガネしてっとデメキンそっくり」なんてあだ名をつけられてしまうのです。眼鏡をからかっては、いけません!
第一印象が最悪だったせいなのか、二人の関係は卒業までギクシャクしてしまいます。しかし最後に二人を結びつけるのは、やはり眼鏡なのです。眼鏡を落としてしまったヒロインにもういちど眼鏡をかけてあげられるのは、少女マンガヒーローだけの特権です。
眼鏡の絆で結ばれたお二人さん、末永くお幸せに!!
ちなみに注目したいのは、本作のビジュアルです。講談社系眼鏡っ娘の洗練された姿が見られるように思うのです。同じ眼鏡っ娘といっても、雑誌ごとにカラーの違いがあるように思います。特に集英社系と講談社系は、けっこう雰囲気が異なっています。どこがどう違うかを言語化するのはなかなか困難なのですが、本作のビジュアルは講談社系の良質な部分を代表しているように思います。
書誌情報
本編は46頁の短編。単行本『としした恋人』所収。まだ古書で手に入ります。
作者のかやまゆみさんは、残念なことに2005年に病気で亡くなっています。現役でばりばり活躍していた作家さんでしたので、とても残念です。素晴らしい作品の数々は、ぜひ後世まで語り継いでいきたいものです。
【単行本】かやまゆみ『としした恋人』講談社、1985年
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